1. フレスコの歴史
フレスコという技法を使った訳ではないと思いますが、およそ20000年前の洞窟に描かれたラスコーやアルタミラの壁画も天然のフレスコ画でしょう。石灰質の鍾乳洞壁が、生乾きの漆喰壁の役割を果たすことで長い年月を経ても描いた時のまま、劣化等が無く当時の色彩で残されています。

バチカン市国のシスティーナ礼拝堂にあるミケランジェロが描いた「天地創造」、「最後の審判」や、イタリアの教会に見られる壁画の多くがフレスコ画です。
日本では高松塚古墳が有名なフレスコ画となります。

油彩の発達によって表現手段としてのフレスコは絵画の主流から外れることになりますが、建築物に直接描画し、壁画としてモニュメントの役割を持たせるためにはフレスコしかありません。
他の絵画にない発色の強さと美しさを求め、フレスコを表現の方法に使う作家も居ます。

・ラスコーの壁画
・フレスコ画

2. フレスコとは?
フレスコとは、砂と石灰を混ぜて作った壁材で描画面を塗り、その上に溶いた顔料で絵を描く方法です。
フレスコは通常の絵画に使う絵の具は使用しません。
絵画に使用する絵の具は顔料(色の成分)とそれを着ける糊の成分が合わさったものですが、フレスコは顔料を付ける糊は一切必要としません。描画面に塗った乾く前の石灰の上に、水で溶いた顔料(粉末状の色素)で絵を描くと、濡れた石灰水が顔料を覆い空気中の二酸化炭素と反応して透明な結晶(カルサイト)になり、透明な石のように堅い結晶に閉じ込められて美しさを何百年も保ち続けます。
また独特な技法により、表面が凹凸で立体的な作品も作る事が出来ます。

・フレスコ画に使う顔料
・カルサイトの結晶